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一般的な葬儀の手順(仏式)

現代は病院のベッドで最期を迎える方が多いようです。また、日本の葬儀は94%が仏式で行われています。以下にご案内するのは、そのようなもっとも一般的ケースによる葬儀の流れです。

病院でのご臨終

病院でのご臨終

現代では多くの方が病院のベッドの上で死を迎えます。入院療養中のご家族や大切な方が闘病の甲斐なく逝去されたとき、遺族はどう対処すべきでしょうか?
と言うのも、辛いことですが、大切な方がたった今息を引き取ったその直後から、遺族にとっては葬儀への対処が始まるからです。

以下では、ご家族など誰かが病院で臨終を迎えた場合の、その直前後から対処すべき葬儀に向けた手順(「葬儀前手順」とも言います)と、そのポイントをご案内します。

ご臨終・死亡告知

医師によってご臨終、または死亡が告げられます。告知のしかたは病院によって違いがあります。

末期の水

「末期の水」は「死に水」とも言い、最期を看取る人一人一人が逝く人を送ってお別れする、在来仏教では大切な葬送儀礼です。お釈迦様入滅時の故事に因むとされ、本来は息を引き取る直前の存命中に行うものですが、現実には逝去直後であることがほとんどです。故人との血縁が濃い方から、その場にいる全員が順番に行います。

ただし、在来仏教でも浄土真宗の宗旨では「末期の水」はしないこととされています。このため、故人(および遺族)が浄土真宗各派の門徒であれば「末期の水」は行わず、また、病院のスタッフにもその旨を伝えた方がいいでしょう。

 

末期の水の手順

 

  • 茶碗に水を用意します。

  • 新しい脱脂綿やガーゼを割り箸の先に挟むか、新しい筆の穂先に茶碗の水を含ませ、故人の唇を潤します。

エンゼルケア-湯灌・清拭、身繕い、死化粧

ご遺体の湯灌、身繕い、死化粧を行います。

本来は葬儀社・納棺師の手を借りて遺族が行うものですが、病院で亡くなられた場合は、看護師などが死後措置の一環でしてくれます。これを「エンゼルケア(または、エンゼルサービス)」と言います。ただし、死化粧はしない病院もありますから、その場合は、遺族でするか、葬儀社に依頼します。

なお、病院でのこれら死後措置は保険適用外です。(実費10,000~50,000円)

また、エンゼルケアと混同されがちですが、「エンバーミング」と呼ばれる遺体衛生保存方法もあります。


 

 

湯灌(ゆかん)・清拭

 

葬儀、納棺に先だって、亡くなった方をお風呂に入れる儀礼を湯灌といいます。遺体を清潔にするためですが、身を清めて来世への旅立ちをさせる意味があります。

湯灌は葬儀社が行いますが、病院で亡くなった場合には、看護師が医療行為としての死後措置と併せて、ご遺体全身をアルコール(または湯)でていねいに拭きます。これを「清拭」と言い、最近では本来の湯灌の替わりとされます。

 

 

身繕い(みづくろい)

 

ご遺体の着替えです。旅立ちのための死装束に着替えるのが本来ですが、故人がお気に入りだった着物や服を用意しておき、着せてあげるのが良いでしょう。

 

 

死化粧(しにげしょう)・メイクアップ

 

ご遺体の髪を整え、皮膚を伸ばして髭やうぶ毛を剃ります。表情に闘病やつれがあれば含み綿などを施して生前の姿に近づけます。故人が女性の場合には薄化粧をし、唇に紅をさすなどします。

ご遺体の搬送~安置

ご遺体の搬送~安置

病院で亡くなった場合、なるべく早く、ご遺体を自宅など所定の安置場所まで搬送しなくてはなりません。そのため、急いでご遺体を搬送する手だてをする必要があります。また、病院の外へご遺体を運ぶには、医師の書いた「死亡診断書」が必要ですし、搬送先の、ご遺体を安置する場所では近親者の方にお出迎えいただくのが望ましいものです。
 

ご自宅などに着いたご遺体は、宗派の作法(北枕か、西枕か、など)にしたがって、部屋に安置します。

故人が使っていた敷き布団があればそれを敷き、敷布は新品または洗濯した白色のものを使い、ご遺体を安置します。掛布や枕も同様に白色のものを用います。掛布や枕は、葬儀社で用意する場合もあります。

遺体の胸の位置に、魔除けの刀(または短刀)を置きます。刀・短刀がない場合は、顔剃り用の柄のついたカミソリや鞘のあるナイフなどでもいいでしょう。

顔には白布を被せます。なお、病院によっては、死後硬直までの措置としてご遺体の両手首や顎を包帯で縛っていることがありますから、その場合は外してあげましょう。

枕飾り(まくらかざり)

枕飾り(まくらかざり)

遺体に添う位置に「枕飾り(まくらかざり)」の祭壇を整え、焼香します。

「枕飾り」は、文机などの仮祭壇用の台に白布を掛け、死装束、一本箸を刺した一膳飯、水、枕団子などを供え、焼香できるように線香、香炉、灯明を置きます。これらは、葬儀社が整えてくれます。

なお、この時までに菩提寺に連絡し、納棺時に僧侶に来てもらうようにします。

葬儀の打合せ・準備飾り

葬儀社の担当者及び近親者と葬儀の打合せをします。なお、このときまでに、葬儀社の担当者に「死亡診断書」を渡し、「死亡届」、「火葬許可証」などの手続を代行してもらうようにします。

打ち合わせすべき主な事柄

1.喪主、世話役(葬儀委員長なども含む)受付、会計、接待、僧侶案内などの係を決め、役割分担の確認をします。

2.弔辞奉読を行う場合は、誰にお願いするかを決めます。

3.日時、葬儀の型式(宗派など)、斎場(式場)・火葬場の確定します。

4.会葬者数を予測し、接待用飲食、会葬御礼・香典返しなどの数量と内容を決定します。

5.必要な費用を見積もり、現金を用意します。葬儀代、お布施、戒名料、お車代、心付けなど、多めに用意し、それぞれに使う包み袋も準備します。(故人の預金などを使う場合、注意が必要です。)

6.貸衣装、着付け・美容などが必要ならば、その手配をします。

関係者・近隣への連絡

打合せで葬儀の概要が決まったら、親戚、故人や遺族の関係者・勤務先、近隣など、会葬予定者を中心に、手分けして連絡します。この時、弔辞を予定する人には、特にその旨をお願いします。なお、町内会・自治会などの責任者にも連絡します。

納棺

僧侶が到着したら、ご遺体の前に案内し、「枕経(まくらぎょう)」を読経してもらいます。

「枕経」は、納棺の前に死者の枕元でする仏式葬儀の作法で、遺族もご遺体の前に控え、一緒にお弔いします。

枕経が終わったら、僧侶立ち会いのもと、近親者でご遺体を棺に納めます。このとき、ご遺体には死装束を施し、故人の愛用品なども一緒に納めます。(火葬の際に燃えない金属類は、納棺しないようにします。)

斎場(葬儀式場)等で通夜-告別式を行う場合、納棺された遺体を遺体搬送車(寝台車)に載せ、自宅から斎場へ向かいます。このとき、ご近所の方のお見送りがあれば、出発前に、喪主が故人に代わって、お別れのご挨拶と生前のお付き合いへの謝辞を述べます。

​通夜

​通夜

本来、通夜は葬儀式・告別式の前夜、遺族・親族と故人をよく知る人たちが集まり、夜を徹して遺体に付き添い、線香と蝋燭の灯を絶やさず(邪霊の侵入を防ぐためと言われます。)に棺を守り、故人を偲んで別れを惜しむものです。

つまり、お葬式・告別式が公(おおやけ)の葬儀であるのに対し、通夜は私的な葬別の場です。

しかし、最近では日中行われることの多い葬儀式・告別式には仕事などの都合で出席しにくい人もいるため、通夜にも一般弔問客を迎え、1~2時間程度で通夜の法要を行い、会葬者に「通夜振る舞い(飲食接待)」して終わる「半通夜」が主流となっています。

​葬儀・告別式~出棺

​葬儀・告別式~出棺

一般には通夜が明けた翌日の日中に、葬儀式と告別式(葬儀・告別の儀)を行います。いわゆる「お葬式」です。

通夜が本来は遺族・近親者のお別れの席であるのに対し、一般の会葬者を迎えて行う公式の追悼儀式です。
式後、棺に入った遺体とともに遺族は葬儀式場から火葬場へと向かいます。これを出棺と言います。

葬儀式とは

ほとんどの葬儀式(葬儀、葬式)は、故人の死を悼み仏や神に祈る宗教儀式です。故人または喪家の信仰する宗教・宗旨宗派・教団によって定まっている葬送儀礼に則って行われます。

現在のところ日本では、9割以上の葬儀式は仏教によって行われています。しかし、ひとくちに「仏教による葬儀式=仏式葬儀」と言っても、その儀礼・作法は宗旨宗派によって違いがあり、また、それら儀礼が意味するところや葬儀の意義も宗派の教義によって異なります。ですから、仏式葬儀であっても、遺族は故人および喪家の宗旨宗派を正確に知っていることとそれを葬儀社に間違わず伝えることが、たいへん重要になります。

告別式とは

葬儀式が宗教儀式であるのに対して、告別式は故人と最期のお別れをする社会的な儀礼です(ただし、浄土真宗大谷派では宗教儀式となっています)。もともとは、葬儀に引き続いて会葬者全員が故人の旅立ちを見送るために墓地まで出向き、埋葬前に最期のお別れをする儀式でした。しかし、現在では遺族・親族と近親者以外の会葬者が火葬場まで同行することはありませんから、葬儀式に引き続いて、棺を閉じる「石打ち」前に故人に別れを伝え、遺体に「別れ花」を行うなどが告別式にあたると言えます。

出棺

葬儀・告別式を終えたら、ご遺体を納めた棺を霊柩車(寝台車)に乗せ、遺族・近親者が附いて火葬場に向けて運びます。これを出棺(しゅっかん)と言います。

霊柩車には喪主または遺族1~2名が同乗します。火葬の会葬者が多い場合は、葬儀社がマイクロバスなどを手配します。このため、あらかじめ、火葬場まで行く人数を把握し、葬儀社に伝えておくことが必要です

​火葬・骨上げ

​火葬・骨上げ

火葬と埋火葬許可証

葬儀・告別式を終えたご遺体は火葬場で火葬します。

火葬には区市町村が発行した「埋火葬許可証」を火葬場に提出することが必要です。

「埋火葬許可証」は「死亡届」を提出し発行してもらいます。ご遺体火葬後、この「埋火葬許可証」に火葬場が火葬済の証印を押し、ご遺骨とともに引き渡されます。

火葬中の過ごし方

火葬には1~2時間かかります。この間は控室で待機します。控室では飲食ができ、また、多くの火葬場では飲食物の持ち込みも認めています。

喪家・遺族は、火葬場まで来ていただいた方々を接待し、歓談して過ごします。(食器やゴミの後始末は忘れないようにしましょう。) なお、火葬中もときどき火葬炉の前に設けられた祭壇にお参りし、線香などの火を絶やさないようにします。また、火葬中の火葬炉のカギは、喪主・遺族に預ける火葬場もあります。その場合は、失くさないようにします。

骨上げ

火葬が終わると火葬場の係員が連絡に来ます。火葬炉のカギを預かっている場合は渡し、全員で収骨室に向かいます。

拾骨室では、お骨になったご遺体を会葬者全員で囲みます。喪主は骨壺を持ってご遺体(ご遺骨)の頭部に立ちます。他の人は「骨箸」を持ちます。

「骨箸」は、長さの違う竹製と木製の箸1本ずつを一組とします。(地域によって違いもあります。)

係員の指示に従って、足の方から骨箸でご遺骨を拾い上げ、喪主の持つ骨壺に収めていきます。このとき、自分の骨箸から直接骨壺に入れてはいけません。必ず、別の人の骨箸に渡し、箸から箸を経て骨壺に移します。これを「箸渡し」と言います。

臨還骨法要

臨還骨法要

還骨法要(かんこつほうよう)

骨上げ後は、葬儀式場・寺(または自宅)に戻り、「後飾り祭壇」に遺骨、位牌、遺影を安置して、僧侶に読経・供養してもらいます。これを「還骨法要(かんこつほうよう)」(宗派によっては「還骨勤行」「安位諷経」)と言います。文字通り、お骨になって帰ってきた故人を追悼する儀礼です。

自宅に「後飾り祭壇」を整える

還骨法要など骨上げ後の手順を葬儀式場などに戻って行う場合でも、自宅には「後飾り祭壇」を整える必要があります。

仏教の葬儀では、逝去日から俗に「忌明け」とされる四十九日までの期間を「中陰」と言い、新たに亡くなった方の遺骨、位牌はこの間、仏壇に収めてはいけないことになっています。このため、高さの違う平机に白布を掛けて、2~3段の祭壇を自宅内の仏壇横または仏壇前に作り、ここに葬儀・火葬を終えた故人の遺骨、位牌、遺影を安置します。これを「後飾り祭壇」または「中陰壇」と言います。

後飾り祭壇(中陰壇)は出棺後に用意するのが望ましく、火葬場に行かずに自宅で留守番する方が整えるか、あらかじめ葬儀社に用意してもらいます。

繰り上げ初七日法要

骨上げ後の「還骨法要」に引き続いて「初七日法要(しょなのかほうよう)」を行います。「初七日法要」は本来は文字通り故人が亡くなった日から7日目に行う、仏教葬儀では大事な法要ですが、喪家・会葬者双方の負担を軽減するため、今日では葬儀・告別式と併せて行うのが一般的になっています。厳密には「繰り上げ初七日法要」あるいは「付け七日法要」などと言います。

仕上げ・精進落とし・お斎

「還骨法要」と「繰り上げ初七日法要」が終わると会食の宴席に移ります。この宴席は「仕上げ」「精進落とし(しょうじんおとし)」あるいは「お斎(おとぎ)」などと呼ばれ、僧侶、世話役はじめ葬儀でお世話になった方々を招き、御礼と労いのために催すものです。
本来は、四十九日(中陰)法要を終えた後に行うものですが、遠方から来ている親戚や自分の時間を割いて最後まで葬送に加わってくれた方々への配慮から、葬儀-火葬直後の法要に併せて行うのが一般的になっています。

なお、僧侶に予定があって出席できない場合は、持ち帰り用の料理を用意し、お布施、お車代とともに渡します。

※式場や自宅の場合の宴席料理には、仕出し弁当などを手配するのが一般的ですが、式場や自宅近辺の料理店などを予約し会場としてもいいでしょう。この場合、遺骨、位牌、遺影を飾る仮祭壇が作れるかどうかを、あらかじめ店に確認すした方がよいでしょう。

遺骨の安置・忌中供養と以後の諸事

以上で、一般的な葬儀の流れはひととおり終わります。仏教式では、この後は「四十九日法要」まで特に儀礼催事はありませんが、社会的・法的手続などで必要な諸事があります。(葬儀が終わったら参照)

なお、ご遺骨は埋葬・納骨まで「後飾り祭壇」に白木位牌、遺影とともに安置し、毎日ご焼香するなどして、ご冥福あるいは仏縁を祈ります。

葬儀が終わったら

葬儀が終わったら

葬儀の一連の流れが終わってからも、喪主・遺族の方々には、しなければならないことがいくつかあります。ここでは、それらについて要点をご案内します。

葬儀社などへの支払いは数日内に済ませる

葬儀社への支払い・精算は、お葬式-火葬の翌日から数日以内に済ませるのが一般的です。

葬儀にかかった費用は、葬儀社が直接提供した「葬儀一式費用(葬儀本体費用、または葬儀関係費用)」の他にも、葬儀社が立て替え払いしていることが多くあります。葬儀社からはそれらを含めた請求書が、葬儀後数日内に届けられます。
葬儀請求書が届いたら、見積書や葬儀中の金銭出納記録などと照らし合わせ、期限内に速やかに支払いを済ませてください。
菩提寺へのお布施なども、当日に済んでいなければ、早めに持参します。また、葬儀社以外でも未払い先があれば、同様に済ませるようにしましょう。

お葬式後の葬送の流れ

葬儀が終わった後の遺骨は、その日のうちに埋葬するケースもありますが、多くは自宅に持ち帰り、祭壇を作って安置・追悼します。

仏式葬儀では、死亡した日から49日目に「四十九日法要」を行うというのがふつうです。
喪主・遺族の方々は「四十九日法要」を軸に、その前後で次のような作業をしなければなりません。

急ぐ必要のある諸届出・手続

死後10日以内、14日以内、1カ月以内に、それぞれしなければならない届・手続があります。

香典返し

特にお世話になった方や多額の香典をいただいた方への香典返しは、四十九日法要までに済ませます。

四十九日忌法要

法要に期日は、正確に死後49日目でなくても良いですが、49日を過ぎてはいけません。遺族・近親者の限られた人だけで、菩提寺の僧侶に勤行してもらい、法要後会食の席を設けるのが一般的です。参会者には四十九日忌の挨拶状と引き物を用意します。

法定相続人の確定と遺産相続
準確定申告・納税/相続税

故人の遺産の相続は死亡したその時から法律で自動的に開始されます。それに関連した次のような法定手続には、それぞれ期限が定められています。

  • 相続人が相続を放棄する場合は、故人の死亡日から3カ月以内(あるいは、相続の開始を知った日から3カ月以内)に家庭裁判所に申述しなければなりません。

  • 相続税の申告・納税が必要な額の遺産相続をした場合は、相続の開始を知った日の翌日から10カ月以内に申告・納税しなければなりません。

  • 故人に、亡くなった年の1月1日から死亡日までの間に所得があった場合、相続人または遺族は、その所得税を死亡した翌日から4カ月以内に確定申告しなければなりません。

以上については、四十九日法要の前後に行う必要があります。

形見分け

形見分けができるものは、相続遺産の対象にならないものに限られます。たとえば、故人が愛用した宝飾品や美術品などは相続遺産になり、形見分けすることはできません。

一周忌法要(仏式)

神式では「一年祭」、カトリックでは「追悼ミサ」、プロテスタントでは「召天記念日」と言い、故人が亡くなった日から1年目の祥月命日(または、その数日前の都合の良い日)に、宗教者にお願いして営みます。遺族・親族だけでなく、故人と親しかった方々にも集まっていただきます。

納骨・埋骨はいつまでに?

遺骨の埋葬について、一部の葬儀社、墓地販売業者、葬儀法事情報サイトやQ&Aサイトなどで、「納骨・埋骨は四十九日までに済ませます」とか、「遅くとも一周忌までにしなくてはいけません」といった情報・回答が、まことしやかに流されています。

しかし、これらは何の根拠もない、言わば「ウソの情報」です。

故人の遺骨は、葬儀・火葬後いつまでに納骨や埋骨しなければいけないということは、法律ではまったく規定していません。遺骨は、火葬場による「火葬済」の証明がされている「火埋葬許可証」があれば、いつ納骨・埋骨しても問題はありませんし、ずっと自宅や遺族の手元に安置していても構わないのです。

ただし、遺骨も有機物ですから、余り長い期間、自宅など温度変化のある場所に置いておくと、変質して色が変わったり、液状化することもあります。
ですから、お墓がすでにある場合は気持ちの区切りがついたとき早めに、また、お墓を建てる予定がない場合は納骨堂などに納める方が安心です。

では、一般に、納骨・埋骨はいつごろを目安とすればいいでしょうか?

大手霊園事業者の調査によると、首都圏では、一周忌、または三回忌に合わせて納骨・埋骨をする方がもっとも多いようです。
つまり、おおむね火葬後2年以内ということになりますが、そのくらい期間内であれば、自宅安置していても遺骨が変質することはまずないでしょうから、これが納骨・埋骨する時期として、ひとつの目安になります。

なお、納骨・埋骨できる場所は、墓地として法的に許可された場所だけです。自分の都合の良い場所に埋葬したり、山や海に勝手に散骨することは犯罪となり、許されません。

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